みんなで歌を歌っているのに、一人だけ歌わない。
音楽遊びが始まっても、輪の中に入らずに離れたところから見ている。
保育の中では、そんな姿を見かけることもありますよね。
周りの子どもが楽しそうに参加していると、「この子にも参加してほしい」「せっかくだから一緒にやってほしい」と思うこともあるかもしれません。
でも、そんなときに無理に歌わせたり、活動に参加させたりする必要はありません。
今回は、子どもが歌や音楽遊びに参加しないときに大切にしたい考え方と、自然に参加につなげるためのちょっとしたアイデアを紹介します。
「参加しない」=音楽を楽しんでいない、ではない
音楽遊びへの参加の仕方は、子どもによってさまざまです。
大きな声で歌う子もいれば、体を動かす子、じっと保育者を見ている子もいます。
輪の外から見ているだけの子どもも、歌を聴いたり、友達の動きを見たりしながら活動を感じていることがあります。
その場では何もしていなかったのに、別の時間に突然その歌を口ずさんだり、家で同じ動きをしていたりすることもあります。
目に見える「歌う」「踊る」だけが、音楽への参加ではありません。
まずは、その子なりの距離で音楽に触れている時間も大切にするという考え方を持っておきたいですね。
無理に参加させないことが、どうして大切なの?
音楽遊びは本来、音を聴いたり、歌ったり、体を動かしたりすることを楽しむ活動です。
そこで「歌わなければいけない」「みんなと同じ動きをしなければいけない」と感じてしまうと、音楽そのものよりも、「やらされること」への意識が強くなってしまうことがあります。
また、参加しない理由も一つではありません。
まだ活動の様子を見ていたいのかもしれません。
知らない歌だから不安なのかもしれません。
大勢で活動するより、一人でじっくり見てから参加したいのかもしれません。
あるいは、その日は単純にやりたくないだけかもしれません。
家庭の問題や生活に不安を抱えていて、音楽に興味を持てないのかもしれません。
理由を決めつけず、まずはその姿を受け止めること。
「参加しないことも選べる」という安心感があるからこそ、自分からやってみようと思えることもあります。
「見ているだけ」でも大丈夫
特に初めての活動では、すぐに参加せず、周りの様子を見てから動き始める子どももいます。
そんなときは、無理に輪の中へ連れてくるのではなく、見える場所・聞こえる場所にいられるだけでもOKです。
何度か同じ歌や遊びを繰り返しているうちに、
「この歌、知ってる」
「次はこの動きだ」
と分かるようになり、少しずつ参加する姿が見られることもあります。
今日参加しなかったからといって、その活動が失敗だったわけではありません。
その日の経験が、次に参加するための準備になっている可能性もあります。
それでも参加につなげたいときの小さな工夫
無理に参加させる必要はありませんが、参加しやすいきっかけを作ることはできます。
① 「全部やる」ではなく、一部分だけ誘ってみる
最初から「一緒に歌おう」「みんなのところにおいで」と活動全体への参加を求めるのではなく、ほんの一部分だけ参加できる場面を作ってみましょう。
たとえば「やきいもグーチーパー」なら、最後のじゃんけんだけ。
楽器遊びなら、最後の「ジャン!」だけタンバリンを鳴らす。
歌わなくても、保育者と一緒に手を一回叩くだけでも構いません。
参加するハードルを小さくすることで、「これならやってみようかな」と思えるきっかけを作ることができます。
一度参加したからといって、そのまま最後まで参加させる必要もありません。
一回できたら、また見ている側に戻ってもOKです。
② 子どもの好きなものから音楽につなげる
音楽そのものには興味を示さなくても、好きなものと組み合わせると興味を持つことがあります。
たとえば、電車が好きな子なら電車が登場する歌。
動物が好きな子なら、動物になりきって動く音楽遊び。
楽器に興味がある子なら、歌わずに楽器を鳴らすところから始めても構いません。
「歌わせること」をゴールにせず、その子が入りやすい入口を探してみるのもひとつの方法です。
参加したときも、参加しなかったときも
ずっと見ていた子どもが、ある日初めて手を動かすことがあります。
そんな姿を見ると、つい「できたね!」「やっとできたね!」と言いたくなるかもしれません。
もちろん一緒に喜ぶことも素敵ですが、参加したことだけを強く評価しすぎないことも大切です。
「参加する=良い」「参加しない=できていない」というメッセージになってしまうと、また参加することがプレッシャーになる場合もあります。
歌っていても、見ていても、途中だけ参加していても。
その日の子どもの姿をそのまま受け止めながら、一緒に音楽を楽しめる環境を作っていきたいですね。
まとめ|その子なりの音楽との関わり方を大切に
音楽遊びでは、全員が同じように歌ったり、同じ動きをしたりすることだけが「参加」ではありません。
じっと見ていることも、音を聴いていることも、ほんの一瞬だけ手を動かすことも、音楽との関わり方のひとつです。
だから、参加しない子どもがいたときに、すぐに「参加させなければ」と考えなくても大丈夫。
一方で、そのまま何もしないことと、無理に参加させないことも同じではありません。
参加しやすい場所を作ったり、一部分だけ誘ったり、その子の好きなものから音楽につなげたり。保育者からできる小さな働きかけもあります。
大切なのは、参加することをゴールにするのではなく、「音楽って楽しいかも」と子ども自身が感じられる経験を重ねていくこと。
それぞれの子どものペースや関わり方を大切にしながら、一緒に音楽を楽しんでみてくださいね🎵


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